宮本恒靖のキャプテンシー [サッカー コラム]
6/19 TBS「情熱大陸」で宮本恒靖が特集された。
遅ればせながら、またまた再現しますよ^^
宮本は昔からなぜか責任あるところにいた。
(ワールドカップ出場を決めた)今の率直な感想は?
「安堵感が一番大きいです。あまりにもこう考えすぎて眠れないこととかもあったんですけど」
6月決戦からさかのぼること1ヶ月宮本を訪ねた。
ガンバ大阪では必ずしもレギュラーではない。たびたび日本代表に招集されるためその間に結果を残したメンバーにポジションを奪われる。しかし、いつのまにか宮本は定位置に戻っている。
宮本は今年28歳で身長176センチ。選手として若くもなければ大柄でもない。宮本を宮本たらしめるものそれは若さや身体能力を補って余りある頭脳だ。
「いつも思うことは26とかでもベテラン扱いするでしょう?海外なんて30越えてバリバリやっている人もたくさんいるし」
宮本の話は誰より的確で人気もある。最近女性の間ではヨン様ならぬツネ様という言葉まであるそうだ。
コンディションの調整具合は?
「個人的には調子は上がってきています」
サッカー観戦のポイントを教えてください
「何が起こるかわからない、ということがあるのでぜひ90分間集中して画面を見てもらいたいと思います。」
深夜番組「ぷぷっぴ10」にメッセージを
「ぷぷっぴ10をご覧の皆さん…」 (えらいな宮本^^ 「ぷぷっぴ10」…関西の番組みたい)
表紙に飾れば雑誌も売れる。断れない性格。気難しい選手が多い中で宮本の気安さに救われる報道陣も少なくない。
宮本は会社員の父と教師を勤める母のもとに育った。小学校で学級委員。中学校では生徒会長。いつもそんな役回りだった。
「学級委員を選ぶとなったときに「先生。宮本くんがいいと思います」(笑)なんとなく分かるでしょ?「おい、やめとけよ」みたいな視線を投げかけへんかったからオレも(笑)受け入れてしまっていたから」
ピッチの上でもそれは変わらない。自ら手を上げたわけでもないのに左手にはずっとキャプテンマーク。日の丸の重い責任を背負い続けてきた。
その重さを痛感したのは3年前のあの時だった。試合(ベルギー戦)は2対1日本のワールドカップ初勝利がそこまで来たと思ったときだった。先発の盛岡が故障。宮本は怪我をおしてピッチにたった。ところが目も前でゴールを奪われ試合は引き分け。そしてベスト8をかけた試合(トルコ戦)でもまた…この苦い記憶が宮本を今日まで引っ張ってきた。
宮本は去年自宅を構えた。落ち着ける場所が欲しかったからだ。妻の両親との二世帯住宅。一人息子の恒凛(こうりん)くん。普段はサッカーのことなど忘れて家族とゆっくりする…のかと思いきや
試合前の研究は欠かせない?
「しますね。またお前おんの?って言われますよ、ビデオルームに。どっちサイドに持たせた方がこっちが守りやすいとか、キーになる選手に誰からボールが出ているか、その選手が持ったとき出てくるなぁと思ったらそれなりに準備できるでしょ?」
「絶対この試合勝ったるねんとか強い気持ちはあるけれどそれだけじゃあかんなぁと思うし」
3年前に始めたことがある日記だ。今自分が考えていること、しなければならないこと、そう思いながら書き進めるうちにページは自然とサッカーのことで埋まっていく。
「へ~こういうこと感じてたんだとか面白いですよ」
あの日の日記にはこうある。
W杯アジア最終予選第1戦 日本2-1北朝鮮
『またまた劇的な勝利になってしまった…。相手が積極的に攻めに出てきて、凌ぎどころやなぁと警戒していたのに。ここは反省点やね。』
W杯アジア最終予選第2戦 イラン2-1日本
『どっちも崩されて失点してしまったわけじゃないから辛いところやね。ついてないなぁと思うけど、サッカーってそんなもんやからね。』
W杯アジア最終予選第3戦 日本1-0バーレーン
『どの試合も厳しい試合になるって思ってたけど、ことごとく予想通りになってくれるよ。そんな予想は当ってくれんでも良いのに…。』
この日は中学時代の仲間と恩師を訪ねてのバーベキューパーティー。話題は決定的なチャンスを外したときのこと
恩師「なんで1m外すんやろなって(笑)」
宮本「伝説ですよね。ゴールまで1mもないのに」
恩師「それを2発外したんだよな」
宮本「どうやって外すんやってね、サッカーって面白いっすね」
友人「いや、そんなんでええの?(笑)」
友人「やっぱ先生がいなかったりするとサボったりするじゃないですか?でもそこでもしっ
かりしてたよな」
友人「無言でねそんなんええの?って顔するわけ。それでみんなやっぱせなあかんかなっ
て」
そのキャプテンシーを問われるときがやってきた。
5/22 日本×ペルー
6月決戦をまじかに控え、その試金石となる試合。若手中心で望んだペルー相手にもかかわらず決定力不足のジーコジャパンには相変わらずゴールが遠い。スコアは0-0。終了まであとわずかになったとき宮本が動いた。ディフェンスラインを上げ勝ちに行く姿勢をチームに伝えた。しかしそれが裏目に出る。ロスタイム、最も気を許してはならない時間での失点だった。勝ちにこだわってよかったのか…それとも負けない試合をすべきだったのか…。
「別に指示は無かったですけど、自分達の感覚で勝ちにいくと。最終予選では多分無理をしなかっただろうし」
オフをはさんで2日後の練習。ジーコは怒っていた。全選手を集め、声を荒らげ終了間際の失点を責めた。練習後宮本はジーコと1対1の話し合いを求めた。試合が始まればピッチの上でチームを統率するのは自分。監督と意思の統一ができていなければ自信を持って試合に臨むことなどできない。
5/27 日本×UAE
6月決戦前の最後の試合。ここで勝ってチームに再び勢いをつけたい。しかし…ディフェンスラインを崩されての失点。宮本はいらだっていた…。スタンドから容赦ない罵声が浴びせられる。それでも宮本は肩を落とした仲間の中で一人気丈に振舞っていた。
その夜、2連敗はさすがにこたえた様子で宮本の足取りもいつに無く重い。
「そういう周りの声やいわゆる雑音に選手が振り回されてたらアカンと思うし…」
「へこむのは一瞬。へこんでいても何も始まらないし」
「不言実行タイプやから(笑)」
アブダビへの出発が2日後にせまっていた。
宮本はお守りを持っていた。
「ファンにもらったのを入れておきました。一応入れとこかなぁと思って(笑)」
この夜の日記
『負けてしまった。一番嫌なのは、チームが自信を無くしてしまうこと。今まで積み上げてきたものをここで失うのが一番良くないと思う。大事なのは6月3日に良い結果を出すこと』
5/30 UAE アブダビ
いよいよ6月決戦が始まろうとしていた。宮本には一つ大きな仕事があった。ここにまだいない選手をチームに溶け込ませること。
そしてその選手がやってきた。中田英寿。遅れて合流した彼をチームにどうフィットさせるかそれが勝利の鍵を握っていた。
最終予選直前の合宿。3日目になってようやく中田が合流した。しかし国内組みと比べれば2週間遅れの合流。なかなかチームになじめない様子だった。
「合流して最初の練習の前にヒデとちょっと話をして…まず調子どうなの?って聞いたら、スゴイ調子イイっていう風に返ってきたんですよ…」
宮本は中田と同い年で各世代ごとの代表をいつも一緒に支えてきた。それだけに性格も知り抜いている。中田は早くから海外に出て実績を積んできた。だからこそ自己主張も強いし、プレイに対する確固たる自信もある。しかし国内組にもここまで中田無しで代表を築き上げてきたという自負がある。そしてそれが紅白戦の中で当然のようにぶつかり合った。
練習後一人ピッチを走る中田に宮本が駆け寄る。中田と国内組とのパイプ役をつとめられるのは宮本しかいない。どちらを立てるのではない。互いの言い分を聞き、勝利に一番近い道を選ぶ、ただそれだけだ。
「いやそれは難しいとかね、ちゃんと言うときは言うし、ヒデとしてはこういろいろなシチュエーションで解決策を常に持っていたいタイプの選手で、だから例えば練習とか紅白戦とかで福西と激論とかあるじゃないですか。そういうものはヒデの考えとそれ以外の選手の考えをあわせるためには必要。必ずやらなければいけないところで…」
今度はもう一人の大黒柱の小野を思わぬアクシデントが襲う、骨折。
「目の前で伸二がプレーしたときにポキッていう音が聞こえたんですよね。まだ伸二がやろうとするから「伸二今ポキッてゆったからちょっとお前やめとけ」っていう話をして「聞こえた?」って俺に聞いてくるから、「多分聞こえたから」…」
チームのムードは沈んでいた。宮本は深夜、選手全員にミーティングを呼びかけた。これがターニングポイントだった。
「とにかく今このうまくいかない部分をどうするかなって考えたときにみんなで話し合いをして、頭の中を整理することでピッチ上でうまくいけばいいなという風に考えて、11時過ぎぐらいにみんなでリラックスルームに集まって、まずどう思う?とみんなに対して。今の状況とかね、思っていることを言って欲しいって投げかけたときに何人かの選手が精神的なことを話してくれたり…」
6/2 試合前夜
『全員が揃っての練習を3日間やってきたけど、ある程度の準備ができたと思う。明日はしっかり全員で戦いたい。』
ワールドカップ最終予選、日本代表にとって最も重要な試合となるバーレーン戦の日がやってきた。真っ赤に染められたホームスタジアムに立つ相手の選手たち。彼らを見ているうちに宮本にはある確信が芽生えていた。
「最初に握手するじゃないですか。そのとき目を見るんですよ相手の。そのとき誰も目を合わせる選手がいなかったんですよ。結構そのときにその相手の心理って表れるなと思っていて、これはこっちの方が有利に立ってると思いました。」
その確信が前半34分現実となった。中田がパスを出し、国内組みの小笠原がそれを決める。一つになったチームがそこにあった。
「この試合は絶対に落とされへんという試合を勝てたってところが…
みんなの喜びようは凄かったです。
何回も握手して、お互いよくやった、よくやったって…」
その後北朝鮮戦にも勝利し、ワールドカップ出場を決めた。
夢を叶えた男たち。この個性豊かな男たちを宮本はキャプテンとしていったいどう纏め上げたのか?
宮本はこう言う。
「みんながその個性を隠さず、そこにいられるようにする。ただそれだけです」
キャプテンというポジションでなければこんなにしんどくはない?
「キャプテンじゃないから誰かやってくれるだろうとかね、自分は関係ないとか思ったら、やっぱり自分らしくないと思うし…そういう気持ちかな」
6/16
『さっき、コンフェデの初戦、対メキシコ戦が終わった。戦ってみての率直の感想は世界レベルの相手とやると感じることを今回も同じように感じたということ。キャプテンとして思うことはさらにこのチームが団結し、よい結果を出せる集団になるために何ができるか。本大会まであと一年。』
宮本はリーダーになるために生まれてきたような存在ですね。
昔から責任のある立場に置かれて、苦境に立たされながらもチームをまとめようとして…
チームそれぞれの個性を隠してしまうのではなく、みんながそこにいられるようにする…
感銘を受けました、感動です。 教訓にします。
もしかしたら宮本は理想の上司アンケートの上位に食い込んでくるかもしれませんね^^
そして、個性を隠して型にはめることが正しい、それしか方法は無いと考えている責任のある立場にいる人たちは今の日本代表や宮本の姿を見て考えてみて欲しい…ですね。
(サッカー好きの方はトルシエ批判をしているの?と深読みしないでくださいね^^)
なかなか宮本のようなリーダーに出会えないかもしれませんが、今後仕事をしていく上でチームの個性を隠さずに個性を十分に発揮できるような環境作りができるリーダーに僕はなりたいですね。
以下は宮本がインタビューで日本代表を一言で表した言葉。
小野
「天才」
小笠原
「いぶし銀」
ジーコ
「神様(トラップもうまいし采配も当るし)」
俊輔
「理論派」
川口
「成熟。(昔見方に怒鳴り散らしていた能活がいろんなことを経験して選手へ
の心遣いとかをするようになった)」
大黒
「(笑)期待に応えてくれる」
中田英寿
「不可欠な存在」
宮本恒靖公式サイト
共通テーマ:スポーツ
またまた再現ありがとうございます。
ツネ様、かっこいいですね~。「みんなが個性を隠さず~」と「自分が関係ないとか思ったら自分らしくない」のとこ、ホント感動です!
彼はサッカー選手としてはもちろん、それだけでなく、社会性というか、人としてのバランス感覚がすごくいいんだろうなぁと思います。
重責なのは承知で、ドイツでもツネ様のキャプテンシーに期待しちゃいます!
by ユウ (2005-06-28 00:28)
ユウさん、こんばんは。
もともと人間性は素晴らしいと思っていましたが、ツネ様を見直しました。
ツネ様のお言葉には感動ですよね!!
(でも実は番組ではナレーターの人がしゃべっていたんです…本人の口から聞きたかった…^^)
海外組と国内組のパイプ役を務めて、一つの戦う集団に纏め上げることができるのは彼しかいませんね。ドイツでのツネ様に期待しましょ~う。
by リュージ (2005-06-29 00:49)
初めまして。ずいぶん前の記事ですが、恒サマ☆の画像を探していてお邪魔しました。画像を探してる=大の恒サマ☆ファンです。顔だけでなく彼の内面のすばらしさがなにより好きです。
そして、情熱大陸の再現!恒サマ☆の出られたこの時のを録画していてもう何度見たことか…ナレーションも恒サマ☆の言葉もほとんど覚えてしまうほどです。が、文字にして頂いてなんだかとても嬉しかったです。
私も「みんながその個性を隠さず、そこにいられるようにする。ただそれだけです」って言葉には感動しました。私もそんなリーダーになりたいです。。
by のほほ~ん (2005-12-03 01:21)
番組中 流れていた曲 ガンバ大阪での練習中の場面 誰が歌ってる何て曲ですか 教えてください
by 今井 (2006-06-11 00:20)